2017年4月20日木曜日

イカ不漁が継続中

スルメイカ不漁により

外国産に切り替えざるをえない

数あるイカの種類のうち、加工品に多く用いられるスルメイカ(地方名マイカ)の不漁が年初あたりからニュースになっていました。そして昨夜、さて、夕食をと思いながらなんとなくつけていたTVから流れてきたニュースは個人的に衝撃大となりました。
それはある大手海産物加工業者が、アタリメやサキイカ(イカの種類ではないですよ。裂いて加工したスルメイカ)などの加工品の原料であるスルメイカを、国産から中国産に切り替えるとのニュースでした。
五十数年こだわり続けてきた国産の原料をあきらめ、仕方なく外国産にするほど、スルメイカの流通量が減少し価格が高騰、危機的状況が訪れていることが分かります。 
スルメイカのゲソ。あぶって食べますが。
スルメイカのゲソ。あぶって食べますが。


スルメイカ加工品(国産原料)は自分のライフスタイルに欠かせない物です。
原産地のチェックは必ず行います。
運転中の眠気覚ましにサキイカを噛めば眠気がかなり収まるし(※個人の感想)。注意:その場合、同乗者がそのイカの匂いをどう思うかで要換気です。
小腹がすいた時には、アタリメを食べると満腹感があるし(※これも個人の感想です)。
塩分については少々注意が必要ですけどね。
イカの塩辛、イカの丸焼き、イカの一夜干し、イカ(ゲソ)フライ・天、イカの沖漬などなどスルメイカのものが美味しいですしね。
そういえば、以前は新鮮なスルメイカがお安くふんだんに手に入ったので、塩辛は自家製で大瓶に作ることが出来ていましたが、このところそれが出来ていませんでした。

スルメイカの若いものがムギイカ

スルメイカの若いものを「ムギイカ」と呼んでイカ釣りの対象にしてもいます。子供の頃には、その釣果を期待して待っていたものですが。
昨今の様子ではこちらの釣果も芳しくないでしょう。と思ったら、そうでもないですね。
現在、関東で出船している釣り船の釣況では、「0匹」が見当たりませんで、1桁台から40杯なんて状況です。爆釣ではありませんが。
趣味の釣りのレベルではまだ大丈夫そうです。

スルメイカはTAC魚種

日本はスルメイカに対して、漁獲可能量 (TAC) を定めて管理しています。
農林水産省からTAC設定に関する資料(水産政策審議会配布資料等)が出されています。
以下、重要なことが記載されていますので直接引用しています。

「【中期的管理方針】
 本資源は減少傾向にあるが、これは海洋環境の変化に伴う再生産環境の悪化によると考えられ、短期的には減少傾向を緩和し、中期的には環境が改善された場合に資源を速やかに増大できるよう親魚量を確保することを基本方向とする。
 ただし、本資源は、大韓民国等と我が国の水域にまたがって分布し、外国漁船によっても採捕が行われており我が国のみの管理では限界があることから、関係国との協調した管理に向けた取組が行えるよう努めつつ、管理を行うものとする。
【29年TAC設定の考え方】
中期的管理方針に則して、冬季発生系群については、ベースとするABCを漁獲シナリオ「②親魚量の増大(6.9万トン)、秋季発生系群については、「②親魚量の維持(15.6万トン)」とし、これらの合計値22.5万トンから、過去10年のうち、全漁獲量に対する日本EEZ内の漁獲割合の最大値(2007年、60.1%)を乗じた13.6万トンをTAC数量とする。」

(出典:農林水産省Webサイト,
 http://www.jfa.maff.go.jp/j/suisin/s_tac/kanren/attach/pdf/index-25.pdf,「平成29年漁期するめいか漁獲可能量(TAC)案について(資料2-6)」)
※ABCと②は直接引用元の参照によります。
平成29年(2017)のスルメイカの漁獲可能量案は、13.6万トンです。
平成26年(2014)が30.1万トン、平成27年(2015)が 42.5万トン、平成28年(2016)が 25.6万トンと比べると、やはり今年は少ないですね。
周辺各国との協調管理がとても重要です。

スルメイカの流通量

農林水産省の平成29年(2017)2月公表の産地水産物流通調査月別報告による流通量の数値を見ると、すでに今年の2月は昨年の月最低値よりも下回ってしまっています。
スルメイカの月別品目別上場水揚量
スルメイカの月別品目別上場水揚量
 ※(産地水産物流通調査月別報告)「農林水産省」
を加工して作成。 

スルメイカ不漁の要因

ニュースによりますと、全国漁業協同組合連合会の話として、全国のスルメイカの漁獲量は20年前の1/6以下になっているとのことです。
また、漁獲量の減少は水産庁の話として、産卵場所と考えられている東シナ海で水温が低下して、産卵に適さない環境になっていることなどの影響があるとのことです。(NHK NEWS WEB,2017年4月19日)
しかし、インターネットで出回っている不漁の原因として、「海水温の上昇のみが挙げられてもいます。これは、ある一部の海域での海水温上昇を捉えて、海水温の上昇が不良の原因であるとしているものだと思われます。
要因には海水温の低下・上昇もあり、また、群れが移動したなどの説も出ています。
残念ながら、要因の特定には至っていないのが現状です。
再びスルメイカの正常な漁が出来ることを期待します。





別のイカ

アカイカとは

外国産のほかに、スルメイカではないイカを代用しようとする動きがあります。
その中にアカイカがあります。
アカイカという名称は、市場でソデイカやケンサキイカ(スルメイカに似ている)の別名として使われていますが、消費者庁による「魚介類の名称のガイドライン」でのアカイカの学名(種名)は、「Ommastrephes bartramii」です。
このことから、水産庁がいうアカイカは、ツツイカ目アカイカ科アカイカ属のアカイカで、別名はゴウドウイカ・バカイカ・ムラサキイカなどです。
身が厚切りで、白い見た目と歯ごたえ感の強さを緩和させるために、味と橙色を付けてちょっと切れ目を入れたイカステーキなんかがこのアカイカです。
最近は肉厚なイカの燻製でも見かけますね。ちょっと大味な気がしますが、食べごたえに関してはじゅうぶんです。

今後期待されるアカイカ

水産庁の平成29年2月21日プレスリリースとして、
「日本近海のアカイカ資源の回復傾向について―水産庁漁業調査船 開洋丸による資源調査結果」
があります。
調査結果として、以下直接引用です。

 「アカイカは日本近海の東経147度までの表面水温11~19℃の範囲に高い密度で分布していました。この海域におけるアカイカの今年の分布密度は、同様の調査を実施した2015年を明らかに上回り、資源水準が比較的高かった2011年も上回る水準とみられます。
 このことは、近年低下していた日本近海のアカイカ冬春生まれ群の資源水準が回復傾向にあることを示唆するものと思われます。(詳しい内容については添付資料をご覧ください)」
(出典:農林水産省Webサイト, 報道発表資料「日本近海のアカイカ資源の回復傾向について―水産庁漁業調査船 開洋丸による資源調査結果」,
アカイカも資源保護対策を行ったこともあって、資源水準が回復傾向にあります。
今後は加工品となったアカイカの露出度が増えていくことでしょう。

国産のスルメイカ加工品を見つけ難くなる今後、これからもいろんなイカ達の動向を見守っていきます。



追記2017.6.2
今シーズンのスルメイカ漁が昨日から解禁になって、函館市の港では本日夜明け前から初水揚げが行われました。
漁獲量は1,080kgほどということで、昨年の解禁日の倍の漁獲量がありました。
昨日の解禁日は天候不順だったせいで、出漁しなかった船があるなかでの漁獲量ですので、今シーズンは期待できるのではないでしょうか。







参考・引用H.P. : 農林水産省Webサイト
       : 消費者庁 Webサイト
               : NHK NEWS WEB
管理者 : Masa
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